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年頭教書

2021年 年頭教書  「すべてのいのちを守る教会」を目指して

大司教 ヨセフ 髙見 三明

 

 年頭にあたり、皆様に新年のごあいさつを申し上げます。昨年も公私ともにご支援とご協力をいただき、まことにありがとうございました。今年も、中村倫明司教様共々、よろしくお願いいたします。

 一昨年、わたしたちは、教皇様のご訪問に励まされて新たな一歩を踏み出そうとしました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、不安や心配の中、ミサや教会行事などへの参加は制約され、カトリックセンターの宿泊事業は閉鎖に追い込まれ、大浦天主堂の拝観者数は激減するなどしました。また教区会計上の重大な問題などにも皆が心を痛めました。

 このような厳しい状況だからこそ、わたしたちは「すべてのいのちを守る教会」を目指していきたいと思います。

 

1.すべてのいのちに神の愛を見る

 すべてのいのちは愛そのものである神から来ます。実際、愛によって天と地とそこにあるすべてのもの、すなわち天体、あらゆる動植物、特に人間は霊と肉を持つひとつのものとして、また神ご自身にかたどり似せて、男と女に創造されました。神は、大地を人間が住み耕し守る所として備え、太陽の光と水を与えてすべての生き物を養い、人間には労働によって自分のいのちを養うための作物、家畜や海の幸を豊かに恵み、生きる喜びを与えてくださいます(詩編65・10-14、104・1-4、10-30など参照)。神は、いのちを愛し、いのちといのちを支えるすべてのものをいとおしまれます(知恵の書11・26、詩編145・9)。この神の愛がすべてであり、わたしたちはその愛を知り、信じています。

 

2.すべての人が互いにいのちを守る

 神は、愛によってすべてのいのちを造り守るだけでなく、同じ愛によってわたしたちを救い、守ってくださいます。神がまずわたしたちを愛してくださったのです(Ⅰヨハネ4・19)。この愛について、イエスは、多くの実を結ぶために死ぬ一粒の麦(ヨハネ12・24)、失われた一匹の羊を見つけ出すまで捜し回る羊飼い(ルカ15・4-7)、自分のいのちを羊のために与える羊飼い(ヨハネ10・11、15、17、18)、回心して戻ってきた放蕩息子を大喜びで無条件に迎える父親(ルカ15・11-32)などのたとえをもって教えられました。

 そして、その愛を行いによって示してくださいました。御父から遣わされた独り子として、十字架の上でご自分のいのちをささげ、復活することによってわたしたちの罪を赦し、わたしたちを悪と罪と永遠の死から救い、神の子としてくださいました。これは神の愛の最高のわざです。

 さらに主イエスは、聖霊によってわたしたちの心に神の愛を注ぎ、その愛を相互愛によって現わすよう諭されます。「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」(ヨハネ15・12)こうして兄弟を愛する人は神を愛し、神を愛する人は兄弟を愛するのです(マタイ25・40、Ⅰヨハネ4・11、 20-21参照)。

 さて、このような愛の精神に生かされて初めて、すべての人が互いに、そしてすべてのいのちを守ることができます。(1)「すべての人」とは、性別、年齢、心身の健康状態、出自、職業、国、言語、文化、宗教などの違いを尊重しつつそれを超えていく人のことです。「善いサマリア人」はその模範です。(2)「互いにいのちを守る」ということは、お互いに、① まず相手の人間としての尊厳と基本的人権を尊重し、② 偏見や差別、いじめ、あらゆる暴力など、危害を及ぼすものからいのちを守り、③ さらに、貧困、飢え、難民生活などで苦しんでいる人々を助け支えるということです。

 

3.教区代表者会議(シノドス)の提言と重ねて

 第1回教区代表者会議(シノドス)の開催から6年になりますが、シノドスが目指した教会は「すべてのいのちを守る教会」と重なります。

 (1)参加する教会は、すべてのいのちを守ることを具体的に実践する教会です。疫病から互いのいのちを守るために、マスクをし、手指の消毒をすることも感染防止への参加です。地球環境を汚染と破壊から守るためにプラスチック製品の使用を控え、水などの資源を大切にすることも参加です。平和活動への参加も「すべてのいのちを守る」ことに通じます。

 (2)交わりの教会は、世界中のすべての人々が兄弟姉妹であるという真理に基づいて、各自が常に愛徳において向上する努力をし、また女性へのリスペクトと公正な評価などによって、男女が協力し合う教会です。また自分も罪びとであることを思い起こして、過ちを犯したほかの人を赦し受け入れる教会です。

 (3)宣教する教会は、わたしたちが「すべてのいのちを守る」姿勢と行動を示すことによって、いのちの福音を証しする教会です。わたしたちは、祈りを熱心にし、愛を説くだけでなく、日常生活が「すべてのいのちを守る」生活になっているかどうかを常に振り返る必要があると思います。わたしたちが皆互いを兄弟姉妹として愛し合う、つまり守り合うとき、福音の香りのする生き方(教皇フランシスコ)を世に示すことができるのではないでしょうか。

 この一年を通して皆様方の上に主の祝福がありますよう祈ります。