年頭の手紙

2026年 年頭の手紙

今年も声をかけよう

大司教 ペトロ 中村 倫明

 24年度 県内不登校 最多4113人

 これは、昨年10月末の長崎新聞第1面の見出しです。4113人の皆さまには、他人にはわかってもらえないいろんな苦しみや悩みがあることでしょう。いや、登校できている皆さまにだって、心に抱えている問題も多いと思います。校内でのいじめ認知の件数も増えていて、これも不登校の一因となっているようです。

 それでは 24年度 長崎教区ミサ 不参加は何人?

 2024年度は、信徒総数5万5215人のうち、主日のミサ参加人数は、2割の1万1350人。ですから、残りの8割、4万3865人の方が不参加ということです。教会では、参加者よりも、不参加の皆さまの方が多いんです。

 原因

 根本的な最大の原因は、信者であるこのわたしたち自身ではないかと思います。お詫び申し上げます。「教会は面白くない」と言う子どもたちの声をよく耳にすることがあります。「面白い」というのは、滑稽でゲラゲラ笑えるということではないでしょうが、教会って本当は楽しいところなんです。神さまってワクワクするお方なんです。でもその「教会は魅力的で神さまはものすごいお方なんだ」ということを、このわたしたち自身が自分たちの言葉や表情を通しても証しできていないのです。おゆるしください。

 数年前の新型コロナウイルスの感染拡大も、信仰生活において大きな影響を及ぼしました。ミサの参加者は、信徒総数の少なくとも3割はいました。これが2割になったのは、まさに新型コロナの2020年からです。

 公共施設や医療機関と同じように、教会においても集会を控えることがすすめられ、やむを得ず主日のミサ参加免除の時期がしばらくありました。そのことが「無理に教会に通う必要はない」との意識の変化を促したかもしれません。新型コロナウイルスが終息した今でも参加者は2割のままです。また、教会内においてもパワハラや誹謗中傷、悪口、噂話、諍いなどで互いに傷つけ合っていることもあります。重ねて申し訳ございません。

 対策(愛の声かけ)

 学校の不登校に対しては、国や自治体もフリースクールを設置するなど対策を講じているようですが、まだまだ一人ひとりに寄り添っていく教育になっていないようです。

 教会が一人ひとりに寄り添っていくものになるために、まず確認しておきたいのは、教会は学校ではなく、神さまの家族であるということです。わたしたちは神さまから望まれて生まれた神さまの子どもです。家庭において自分の親から「愛しているよ」と声をかけてもらって生まれ、「愛しているよ」と抱きしめてもらって育ててもらい、「愛しているよ」と祈り支え助けてもらって生かされていくように、神さまがいつもともにいて「愛しているよ」という呼びかけに満たされている世界が信仰の世界であり、神の家族の姿です。ですから、大切なのは、神さまの「愛しているよ」という呼びかけを確認し、わたしたちもお互いに「わたしたちも愛しているよ」という声かけをすることです。

 信仰は強制ではありませんので、その声かけもデモや叱りつけるような強声ではなく、笑顔で、丁寧で、思いやりあるものにしたいです。人の悪口を言い合ったり、人の言動や容姿をあざ笑ったりする、愛とは真反対の声かけではなく、人に希望や勇気を与え、人をしあわせにするあたたかい声かけを心がけたいです。

 そういう意味では、まだまだあたたかい声かけが届いていない8割のわたしたちの教会家族やたくさんの人々がいます。教会に来ている人にだって、あたたかい声かけは必要です。どうぞ、今年も声をかけていきましょう。

 分かち合い

 お一人のお母さまから、素敵なお手紙をいただきました。そのお母さまには、中学生の息子さんがおられるそうです。息子さんは、いろんな理由もあって、学校も休みがちだそうですが、ある時、学校のお友だちに「今度、バザーがあるから教会に来ない!?」と声をかけたそうなんです。お母さんは、そのことについてのお気持ちを分かち合ってくださいました。

 「母親の私は、恥ずかしながら、『時々しか学校に行っていないあなたが、友達をバザーに誘うなんて…』と、正直思いました。しかし、それから数日間よくよく考えてみると『あっ‼ 息子は、声かけをしている‼ 宣教をしている‼』ととても嬉しくなったのです。私は、職場の同僚にバザーの声かけもしてないし、声かけをした息子に『あなたが言っても…』と口にはしなかったものの、そう思ったことを恥ずかしく思いました。神様は息子を通して私に大切なことを教えてくださいました。困難な状況にあっても、神様は息子の中ではたらいてくださっている…。大司教様が『声をかけよう! 声をかけ合おう!』とおっしゃっている事を無意識に、聖霊の導きのままに行動に移した息子のこの姿に嬉しさのあまり、大司教様とこの喜びを分かち合いたくて、お便りしました。バザーにきてくれた友達は1人だったそうです。でも、来てくれた友達の数ではなく、息子の行動が何よりもうれしい事でした。」

お手紙をくださったお母さん、ありがとうございました。
お友だちに声をかけてくださった息子さん、ありがとうございました。
そして、息子さんから声をかけてもらって教会においでくださったお友だち、ありがとうございました。

 神さまが、皆さんに「ありがとう。愛しているよ」と声をかけてくださっています。

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おともだちへ

あけましておめでとうございます。
ことしもよろしくおねがいいたします。
ことしもはじめに
おとうさん おかあさんから
「あいしているよ」とだきしめて
もらってくださいね。

かみさまもみなさんのことが
だいすきで
みなさんをギュってだきしめて
くださっています。
すてきないちねんで
ありますように。

 だいしきょう ペトロ なかむら みちあき

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(『カトリック教報』2026年1月号)

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