アメリカと日本の4つの教区による声明「核兵器のない世界のためのパートナーシップ」に関し、中村倫明大司教からお知らせが出されました(2023年8月15日付)。皆様にお伝えいたします。
シアトル大司教区によるこのたびの平和巡礼のページもぜひお読みください。
https://archseattle.org/about-the-archdiocese-of-seattle/archbishop-etienne/pilgrimage-of-peace/
4教区による共同声明
「核兵器のない世界のためのパートナーシップ」のご報告
キリストにおける兄弟姉妹の皆様へ
4年ぶりに行われようとしていました8月9日(水)18時からの長崎教区主催「平和祈願祭」(平和祈願ミサおよびたいまつ行列)は、台風6号の影響で中止となりましたが、浦上教会での11時02分からの原爆犠牲者追悼ミサに、平和祈願の意向を加えていただきました。
このミサでは、アメリカ合衆国からニューメキシコ州のサンタフェ大司教区のジョン・C・ウェスター大司教様、ならびにワシントン州のシアトル大司教区のポール・D・エチエン大司教様も共に祭壇を囲みました。サンタフェ大司教区の管轄区域内にあるロス・アラモスには、広島と長崎に投下された原爆を開発・製造した核研究所があり、シアトル大司教区があるワシントン州には、世界で3番目に大きい核兵器貯蔵所が存在していますが、長崎に落された核燃料のプルトニウムが製造された所でもあります。
そして同じ9日の夜、広島の白浜満司教様とともに、4つの教区による「核兵器のない世界のためのパートナーシップ」の共同声明を発表しました。そのご報告とともに、これからの世界平和への歩みをともに続けていけるよう皆様のお祈り、ご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
2023年8月15日
カトリック長崎大司教区
大司教 ペトロ中村倫明
核兵器のない世界のためのパートナーシップ
広島と長崎への原爆の投下から78年にあたり、私たちは、核兵器による被害を受けた地域にあるカトリック教会の4教区の司教として、「核兵器のない世界」の実現を目指して共に歩み始めることを宣言します。そして、被爆80年を迎える2025年8月までに、「核兵器のない世界」の実現に向けて具体的な進展があることを切望します。
核兵器の保有そのものが倫理に反するという教皇フランシスコの思いと教えに基づいて、世界の指導者たちに対して、2023年5月に広島で開かれたG7サミットの首脳に求めたような核兵器廃絶に向けた具体的な取り組みを進めるよう、再び呼びかけます。
・広島と長崎の原爆投下が被爆者に与えた途方もなく大きく、また長期的な苦痛を認識すること。
・世界中で行われたウラン採掘、核兵器の研究、製造、そして実験による甚大で長期的な人的被害、および環境破壊の現実を認識すること。
・核戦争に勝者はおらず、決して行ってはならない戦争であることを繰り返し訴え、また2022年11月にG20が合意したように、核兵器による威嚇やその使用は「許されない」ことを強調すること。
・新たな軍拡競争を防止し、核兵器の使用を警戒して、核兵器廃絶を進めるための具体的な措置を発表すること。
・今から半世紀以上前、1970年の核不拡散条約で約束された、核軍縮につながる真剣な多国間交渉に入るという国際的な使命を尊重すること。
・バチカンが最初に署名・批准した核兵器禁止条約を支持すること。
同時に、私たちは宗教者として、私たち自身も核兵器のない世界の実現を推進するために、リーダーシップを発揮する責任を認識し、新たなイニシアチブをとることに合意しました。具体的には、教皇フランシスコが2019年11月24日に広島で発信していたメッセージの「思い出し、共に歩み、守る」を精神として、私たちの4教区からはじめ、その他の教区、さらには宗教を超えたパートナーシップの構築を呼びかけたいと思います。
*「思い出す」とは、
悲痛に満ちた歴史から学び、現状を見つめ、平和の文化を築くことです。
*「ともに歩む」とは、
一緒に祈り、支え合い、行動することです。
*「守る」とは、
特に核被害者を救済し、核兵器によって破壊された環境を回復し、共通の家である地球を保護することです。
すべての宗教団体の皆さまには、この精神に基づく具体的な活動の展開を呼びかけたいと思います。
わたしたち4教区は、
①「思い出す」ために
・ヒバクシャ、ウラン鉱山労働者、平和活動家、原子力技術者、軍人、外交官などの声に、日頃から耳を傾け、対話すること。
・核兵器の脅威や被害について学習する機会を設けること。
②「ともに歩む」ために
・固有の祈り(末文参照)をもって、個人としてあるいは共同体として、神の助けを願うこと。
・核兵器のない世界の実現を目指して、少なくとも年に一回、ミサを献げ、可能ならば、核被害者の支援と核兵器によって破壊された環境の回復のための献金を呼びかけること。
③「守る」ために
・核兵器禁止条約への署名・批准を推進する活動を行うこと。
・核兵器の製造・保管に費やされる資金を、弱い立場にある人々の救済や環境問題への対処に用いるよう、世界の政治的指導者に働きかけること。
未来の世代に平和の遺産を残すために、核兵器による被害を体験した地域になる4つの教区の司教である私たちは、司祭団、修道者、信徒に対して、「思い出し、ともに歩み、守る」ためのパートナーシップに積極的に参加するよう呼びかけます。
平和への道は険しいものです。私たちだけの力で歩んでいくことは到底できません。この私たちのパートナーシップの歩みの上に、平和の王であり、私たちと共に歩んでくださる真のパートナーであるキリストに祝福を祈り求め、平和の母である聖マリアの取り次ぎを願います。
サンタフェ大司教区 ジョン・C・ウェスター 大司教
シアトル大司教区 ポール・D・エチエン 大司教
長崎大司教区 ペトロ中村倫明 大司教
広島司教区 アレキシオ白浜 満 司教
長崎大司教区 ヨセフ髙見三明 名誉大司教
被爆78年 2023年 8月9日 長崎大司教館にて
署名入り文書
日本語 20230809 核兵器のない世界のためのパートナーシップ.pdf
英語 20230809 Partnership for a World without Nuclear Weapons.pdf
《関連ページ》
教区ブログ 8月9日 11時2分 原爆犠牲者追悼と平和祈願の意向のミサ https://www.nagasaki.catholic.jp/?p=11524

